居心地のいい“家族の食堂”をつくりたい。

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居心地のいい“家族の食堂”をつくりたい。 「“四つ葉食堂”という家」

『居心地のいい“家族の食堂”をつくりたいんです。』
そう言って二度目の打合せの際に建主様から手渡された「四つ葉食堂」と書かれた一冊の企画書。
お仕事柄企画書を書かれるのは手馴れたもの、お手本のようなその企画書の中にはご夫妻の未来の住まいへの色々な想いがぎっしりと詰まっていました。こちらとしてはこういうのはある意味ちょっと厄介なパターンですが、ご夫妻の人柄や何度も打合せをする中で、お互い好みに共通点が沢山あることが分かり、出来るだけ企画書の添うようにプランニングを進めていくことが出来ました。
この時の為に揃えておいたお気に入りのテーブルや照明、憧れていたIKEAのキッチン、こだわって付けた真鍮のスイッチプレート。もともとオシャレな小物やアンティークな家具を好まれていたようなので、そう言ったお気に入りのモノも出来るだけ取り入れるようにもしました。
また昔よく家族でキャンプもしていたということだったので、屋根なりの空間の二階は居心地のいい圧迫感を感じるテントをイメージしていただけるようにしました。
庭先に残した雑木林の間を家族たちが荷物を持って上がってくるのが見える大きなウィンドウのある“家族の食堂”。
『好きなモノに囲まれた暮らしが出来そうで嬉しい』お引渡しの際お客さまからいただいた嬉しいお言葉です。

  1. 建築概要
  2. 仕様
  3. キッチン
  4. 薪ストーブ
  5. 設備
  6. 収納
  7. こだわりポイント

「“四つ葉食堂”という家」

  • 建設地:山梨県北杜市大泉町
  • 建築面積:67.90㎡(20.53坪)
  • 延べ床面積:112.75㎡(34.09坪)
  • 主用途:一戸建ての住宅
  • 構造:木造・在来工法・二階建て

明るさと使い込むほど味の出る素材

外装は屋根がガルバリウム鋼板、その他は杉板張りとなっております。
内装は一階の天井・壁がプラスターボードにエマルジョンペイント仕上げで明るく、床は30mm厚の杉板張りにオイルステイン仕上げ。
二階は天井・壁が無垢の信州カラ松板張り、床は一階と同じく30mm厚の杉板張りのオイルステイン仕上げになっています。
当初奥様とお嬢様は一階の床には床暖房を希望されておりましたが、床材が限られたり、将来的な不具合、メンテナンスのこともご説明して採用はしませんでした。
当方の標準仕様である床下に発泡性板材の100mmの断熱材を挿入した上に24mm構造用合板と30mmの無垢の杉板張りにて実際暮らしていただいたところ、ほとんど寒さは感じないそうです。
それよりも無垢の杉板の肌触りが心地よく、息子さんやお孫さんたちは床に直に寝転がるのがお気に入りとのこと。
また床のメンテナンスに自然素材系のワックス塗りをお勧めしておりますが、靴下や素足で歩き回ることで自然とツヤが出ますとお伝えしたところ、それを実践されているようで、伺うたびにいい感じのツヤと味が出ています。

杉は柔らかい素材ではありますが、蓄熱性がある上肌触りがとても良い素材です。傷は付きやすいですが、それを暮らしの中で生まれる“いい味”と捉えられるのであればお勧めの素材です。
上の写真はこのお宅の数年経った床材です。こういうテイストは時を重ねた無垢材ならでは、工業製品はもちろん職人技でもなかなか出せません。
こうして暮らしながらテイストを醸し出し、楽しむことによってさらに自分の住まいに愛着も湧くと思います。

念願のIKEAのキッチン

キッチンはお住まいのお宅からもすぐのところにあるということで、最初からIKEAのモノをというリクエストでした。
もうすでに使いたいタイプとプランは決まっているようだったので、ご夫妻に同行してIKEAとも打合せを重ねて最終的なプランを決めました。
しかしながら建設地はIKEAのサービスエリア外、配送料も割高になる上、専属の施工業者に依頼すると割増料金になる上、宿泊費などの出張料もとられIKEAの「安くて良質」というメリットが薄らぐことが判明。
ご予算的なこともあるので、それではということで部材だけは送ってもらい、私と電気設備屋さんとで組み立てることにしました。

100点を超える部品の検品から始まり、ざっくりとした説明書を見ながらの組み立てはもちろん、取手の位置出しから穴あけまで全てセルフビルドでやることには戸惑いと驚きがありましたが、組み上がった夢のキッチンをご覧になりとても感激されている建主さんご夫妻の様子を見ると苦労した甲斐がありました。
そして専属の施工業者に依頼するよりはだいぶリーズナブルに仕上がったと思います。

Andersen(アンデルセン)/CI-1

これもまた建主様が初めから決めていたというAndersen(アンデルセン)の「CI-1」という薪ストーブ。
「みにくい アヒルの子」という愛称で長年愛されてきた人気機種ですが、残念ながら生産中止になるということで、早めにオーダーを入れておきなんとか最後のロッドを確保できました。
コンパクトで可愛らしいデザインですが、仕事はしっかりしてくれるストーブです。

家の真ん中に設置し、二階の床を抜いて煙突を設置することにより、ほぼ建物全体をこのストーブ一台で暖めてくれます。
実際、到着早々は補助暖房のアラジンのブルーフレームのストーブは使うものの、薪ストーブが稼働するとこれ一台で十分暖かいそうです。

お気に入りに薪ストーブの初めての火入れの時の建主さんたちのとても嬉しそうな姿がとても素敵でした。

効率よくコンパクトにまとめた水廻り

建主様のご希望でトイレ、洗面脱衣室、お風呂をコンパクトにまとめました。
また洗面脱衣室とトイレには入り口を二つ付け、効率よく二方向からアクセス出来るようにしました。
浴室はハーフユニットバスに檜板で壁天井を仕上げています。大きな窓から甲斐駒ヶ岳を眺めながら入浴出来ます。
洗面台はこれまた建主様が最初から希望していたIKEAのダブルシンクタイプのモノを設置。組み立てはもちろん大工さんです。鏡もラックもIKEAで揃えオシャレな空間になっています。
腰壁越しにトイレを設置、トイレの前の扉の中には階段下のスペースを利用した洗濯機置き場があります。

インとアウトの物が置ける納戸

キッチン横には三畳ほどの広さの納戸を設置。
限られたスペースを有効に使う為、入口入ってすぐの真ん中に奥行きの浅い棚をあえて設置、それを挟むように最小限の通路を確保しつつ収納棚を設置するようにしました。
これにより左手は食品やワードローブを、右手にはアウトドア用品をとインとアウトの品物を分けて収納出来ます。
尚、ワードローブ用にはIKEAの棚を組み込んでいます。

真鍮のスイッチプレートやドアノブ


計画を進めていくうちに建主様からスイッチプレートは普通のプラスチックものではなく、使い込むうちに味の出る真鍮製にしてほしいというリクエストがあったので、ネットで探し建主様から御支給していただく形をとって変更しました。
こういう細かい部分にまでこだわると建主様には脱帽ですが、こういう特殊なモノを探すのも使うのも嫌いではありません。実際つけてみるとやはりいいものです。

ドアノブも最近では敬遠されがちな丸玉型の真鍮のものを選ばれました。
この握り玉の形状にもなかなか細かいリクエストがあり、いくつかピックアップした中から一番理想的な形のモノを採用。

その他にも以前から購入されていた照明器具や、流行りつつあったレトロな傘の照明器具を随所に取り付けています。
こだわりぬいたご自分の「好きなモノ」を出来る限り採用した住まい、最初にいただいた企画書に近いモノになったのではないでしょうか。

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